今回は、単独猟・鳥猟での安全狩猟のお話になります。
よろしければ、下の記事【安全な狩猟について その1(巻狩編)】も読んでください。
単独猟は、本当に危険なのか?
単独猟は危ないという話があります。
単独だと、山中で怪我や病気をすると、誰も助けてくれないよ。
車がスタックしたら、山から帰れないよ。
一緒に出猟した猟隊の車が雪にハマって、皆で力を合わせて雪から脱出できました。一人だと脱出出来なかったと思います。
僕も昔、シシの足跡を追っていて、乗っていた車が横転したよ。
その時は、助けを呼ぶために半日以上歩いたよ。
いつも持ち歩いている非常食と飲物、ヘッドライトが役に立ったよ。
山の中では、車のトラブルも多いようです。
また、
日猟会報の【共済だより】によると、平成25年から平成29年の間に、684人が転倒や転落している。病死は、35人も居てる。
転倒や転落、病気も多いようです。
こういうトラブルが発生した時に、携帯電話が通じない場所で一人だと大変です。
単独猟は危ないという話は、確かに間違いではないようです。
では、実際に危険な目に遭って無事に助かった人の話を聞きましょう。
【ケース1】落し穴にハマった人の話
だいぶ昔に、単独猟の時に3mちょいの穴にハマりました。
雪が積もっていたので、穴が分かりませんでした。
チョコレートと水と雪で、体力を温存して1日半しのぎました。
ウシオは、猟犬1頭を引き連れて、山で五目猟をしていました。
シカの追跡をしていた時に、落し穴にハマりました。
落し穴は3mちょっとの高さ、直径も大きく登る事は出来ません。
一緒に居た猟犬は穴の近くをウロウロし、たまに吠えています。
携帯電話も通じません。
ウシオは自力での脱出を諦め、たまたま所持していたチョコレートで飢えをしのぎながら、助けを待ちました。
そして、穴にハマって1日半後ウシオは同じ猟隊の仲間に助けられました。
ウシオは、猟場近くの人と普段から挨拶をしていました。ウシオの車が長時間停車していたのを猟場近くの人は不審に思いました。不審に思った猟場近くの人が猟隊に知らせてくれた為、ウシオは救出されました。
落ちた穴の近くにウシオの猟犬がいた事。積雪の為にウシオの足跡が分かった事。それらの好条件も重なり、車から落ちた穴まで3kmの距離がありましたが迅速に助けられました。
普段から猟場近くの人に挨拶をしていたおかげで、助かりました
出猟前に行うこと
自分が出猟する事をきちんと知らせましょう
もし途中で携帯電話の電波が届く場所に出たのならば、無事な旨と現在地を知らせると良いでしょう(万が一の時、捜索範囲を限定しやすくなります)。また途中で目的地の変更があれば、それも知らせましょう。
出猟の時は、家族や知人も心配をします。
無事の知らせは、待っている人を安心させます。
メールやLINEであれば、連絡を受ける人の負担にもなりにくいです。
無事に出猟から帰って来た際も、きちんとお礼と報告をしましょう。
出猟してから気をつけること
【ケース2】車が雪に閉じ込められた人の話
だいぶ昔に、単独猟でジムニーで山の中に入りました。
ジムニーの能力は素晴らしく、ドンドン山奥に行けました。
だけど、
車から降りて山を登っている時に、天気が急変したのです。
雪はみるみる降り積り、ジムニーは雪だるまになりました。
どうする事も出来ません。
その時、たまたまイヌ探しに来ていた先輩猟師に会い、スコップを貸してくれたおかげで助かりました。死ぬかと思いました。
また、お前か!
ウシオは、ジムニーの性能をフルに使って山奥に進みました。
なんの準備も無しに。。。。
この時は、たまたま先輩猟師に出会ったので助かりました。そうでなければ、今頃ウシオはこの世に居なかったかも知れません。
車で林道の奥まで行くと、戻って来れなくなる事があります。。。
猟期は冬です。雪が降っていると路肩が分からなくなり、そのまま溝にハマったり横転する事もあります。
また、台風以外にも積雪で倒木が発生する事もあります。倒木のために、Uターン出来る場所にたどり着けずに、相当な距離をバックで走行しなければならない事もあります。
他にも、障害物で車体の下を損傷する事があります。最悪の場合、自走出来なくなる事もあります。
車の性能の限界まで使わずに、余裕をもって走行しましょう。
【ケース3】他の人が山に入っていたら、その山には入らない
以前、とら子とウシオが一緒に鴨撃ちに行ってる時にこんな事がありました。
この先を真っ直ぐ行って、次の左手の側道に入って、車を置ける広い場所があるから、そこに駐車して、10分位歩いたら池があるよ
車は順調に走り、車を置ける広い場所まで来ました。
そこには、ハイエースとクラウンが停まっていました。
こりゃ、あかんな。既に先客が来てるで。
一応、停まっている車を良く見ると、鴨キャッチャーや大きなタモが車の中にいっぱい入っています。
どちらにせよ、先客が居てる場合はこの池は諦めて次の池に行かなくてはイケマセン。
そうしないと誤射の可能性があります。
先客が居れば、鴨が飛んでいる事も多いです。
先客が居てた池は後回しにして、また後で来たらいいのです。
後で来ると、また鴨が池に居る事もあります。
一番大事な事は、事故を起こさない事と事故に巻き込まれない事です。
余裕のある狩猟をしましょう。
実際の狩猟事故
以前、このような事故がありました。
イノシシと間違え猟銃発砲 狩猟仲間の男性死亡 兵庫県佐用町
2016年12月11日午前11時半ごろ、兵庫県佐用町庵の山中で、仲間と猟をしていた同県姫路市飾東町の大工の男性(26)の腹部に、別グループで狩りに来ていた大阪府の無職の男性(69)が撃った猟銃の弾が当たりました。撃たれた男性は約3時間後に搬送先の病院で死亡が確認され、兵庫県警佐用署が業務上過失致死容疑で無職の男性から事情を聴いています。
同署によると、撃たれた男性は姫路市内の狩猟愛好家ら4人と一緒に同日朝から山に入り、猟犬を使いながらシカなどを狙っていた。大阪府の男性も、9人の狩猟仲間とクマやシカなどの狩りをしていたという。
撃った男性は同日午前11時25分ごろ、仲間から「獲物が近づいてきた」との無線を受け、発見したイノシシに向け猟銃を2回発砲。その後、倒れている男性を見つけたという。撃たれた男性は当時、はぐれた猟犬を探していた。
~産経WEST参照~
同じ山に2つの猟隊が入ってしまった為に、発生した事故です。
もちろん、それ以外にも事故が発生した原因はいくつかあると思います。
狩猟を行う際には、他に人が(もちろん猟師以外の人も)居ないか、確認してから狩猟をしましょう。
猟場に居る人が、必ずしも目立つ格好をしているとは限らないです。
迷彩服や目立たない色の服を着た人も居てます。
人間は、オレンジ色とは限らない。
先客が居てる場合は、違う猟場に行きましょう。
シカの雌雄を確認してから撃つ
シカのメスを捕獲しても良くなったのは最近の事です。
以前は、シカのメスは捕獲禁止だったのです。
ワシが狩猟を始めた時は、まだシカのメスは撃ってはダメでした。
知り合いがシカのメスを誤射しました。狩猟法違反の為、猟銃の所持許可を取り消されました。
古い猟師さんは、メスのシカを撃つの禁止されていた為に、今も違和感を感じる人が居るそうです。
シカのツノ(雌雄の判別)をしてから撃てば、誤射は減ると思う。
獲物をきちんと確認してから撃てば、基本的には誤射は起きないです。
山の中では、シカの白いお尻はよく目立ちます。
シカの白いお尻を目印に発砲する人もいるようです。
お尻に向かって撃っても、獲物に逃げられる確率は高いです。もし捕獲できたとしても、内蔵を破壊し、肉の過食部分も減ります。
シカのお尻と思っていたのが、人間が持っていた白いタオルかも知れません。
だから、きちんとシカのツノの有無の確認をしましょう。
基本的な事
- 実包装填の有無に関わらず、銃口は人に向けない
- 不要な実包の装填は行わない
- 発砲する時以外、引き金に指をかけない
- 音や気配で発砲せずに、獲物の姿をきちんと目視し、確認してから発砲する。
- 射撃方向の左右90度に人が居たら発砲しない
- バックストップの確認
脱包さえしていれば発生しなかった事故が沢山ある
今期も無事に猟期の終わりを迎えましょう。