今回は、狩猟をしていてたまに起きる出来事に関してのお話です。地域差があるので、1例としてお聞き下さい。
今回は、猟歴約40年のウシオ先生に、狩猟に関しての講義に来ていただきました。
猟歴約40年ですが、猟友会では若手のウシオです。
よろしくお願い致します。
今回は、どのようなお話をしていただけるのですか?
不要な争いをしない為の猟師の知恵について、お話します。
多数の人間で猟をする時に起きる事
ある巻狩での出来事。
勢子が追い出した鹿が、マチ(タツマ)に向かって全力で走っています。
ヒーヒー。逃げます。
ようし来たな。バーン!!
痛い!!でも、逃げます。
あっ、逃げられた。
ヨロヨロ
チャンス。ドッカーン!!
やられた~
と、いう事でシカは捕獲されました。
誰が捕獲したのか?
無事にシカは捕獲されましたが、少し揉め事が生じました。
ワシがトドメを刺したから、ワシがシカを捕獲したんや!!
それは違います。
ボクが最初に撃って弱らせたから、ボクの手柄です。
ウシオが以前所属していた猟隊では、賞品は無かったですが年間捕獲数のMVPを決めていました。捕獲した人というのは、皆から一目置かれました。また、獲物を捕獲した人は皆から労を労われ、獲物を山から軽トラック等へ運ぶ間休めました。別に肉が増えたり、お金が貰える訳ではないが、捕獲するのは名誉な事でした。
そのため、ハンターさんとマタギさんは互いに捕獲した権利を譲りませんでした。
わだかまりが残らないように、ウシオの以前いた猟隊では、捕獲に関してのルールがありました。
シカは先矢
シシは後矢
足が速いシカは、先ず動きを止めるのが難しいです。そのため、先にシカに弾を撃ち込んだ人が捕獲した事になります。
シカに比べて足が遅いイノシシは、シカに比べて弾を当てやすいです。その代わり、矢に強い(鉄砲で撃たれてもなかなか死なない)イノシシは、鉄砲を撃たれても逆襲する事があります。そのため、イノシシはトドメを刺した人が捕獲した事になります。
以上の理由により、今回はハンターさんが捕獲した事になります。
私は、トドメを刺した人が捕獲した事になるのですね。
猟師のルール
実際は、お互いに捕獲を譲り合ったり、獲物を公平に分けて、グループにわだかまりが残らないようにします。
複雑な人間関係の問題も、マタギ勘定にみられる猟師のルールから、解決口が見つかるかも知れませんね。